平成20(2008)年度 東北大学法科大学院入学試験(第2次選考)小論文試験

平成19(2007)年11月24日実施

〔問題〕

 日本では2007年4月、児童生徒に対する全国一斉の統一学力テストが始まり、学校を外部機関が評価する査定制度の導入も検討されている。さらに教員に対しても免許更新制度の導入が予定されており、議論を呼んでいる。こうした教育改革が進められる中で、そもそも初等公教育の質の向上を図る上で、教育制度の仕組みやこれに対する国家の関与のあり方をどのように考えるべきであろうか。次の(A)・(B)2つの文章((A)はイギリス、(B)はフィンランドについての文章である)を読んで、児童生徒に身につけさせるべき「学力」に対する両国の政策の違いを踏まえながら、それぞれの教育制度と国家の介入のあり方の特徴を整理しなさい。その上で、あなた自身の見解を述べなさい。

(A)(阿部菜穂子『イギリス「教育改革」の教訓』(岩波ブックレットNo.698、2007年))より
(B)(福田誠治『競争やめたら学力世界一 フィンランド教育の成功』(朝日新聞社、2006年))より

〔出題の意図〕

 東北大学法科大学院は、法的思考に対する適性と正義・公正の価値観を備えた者を学生として受け入れることを理念としている。小論文試験では、法的思考を身に付けるのに必要不可欠な能力、すなわち資料を正確に理解し、分析し、要点をまとめ、それを文章へと構成する力を評価することを目的としている。なお、法学の専門知識を問うものではないため、資料に表れていない法学専門知識に基づく論述は、特別の加点対象とされていない。

 設問は、近時議論されてきた,初等公教育制度のあり方を対象としている。

 問題の前半部分で、受験者には、(A)(B)二つの文章を正確に読解した上で、児童生徒に身につけさせるべき「学力」に対する両国の政策の違いを踏まえながら、それぞれの教育制度と国家の関与のあり方の特徴を的確に要約し、対比することが要求される。

 そしてこれを基に、問題の後半部分で、初等公教育のあり方についての受験者自身の分析を論理的に提示することが求められる。

 以上のように、問題全体として、単に資料を読んだだけでは解答することができず、受験者の分析力、論理的思考力、そして文章構成力を試す出題内容となっている。

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